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待機行動って一体何だ!?2020年08月26日
競艇のルールを複雑にしている元凶「待機行動」。ここまで複雑なスポーツのルールを私は他に知りません。それくらい待機行動というものは奥が深いです。しかし、安心してください。ここではおさえておくべきポイントのみに集約し、分かりやすく解説していきます。競艇初心者の方は必読です!
出来る限りさらっと読みたいという方は「深堀り」部分を省略して読んでみてください。

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■よくある質問
まず最初に、待機行動についてよくありそうな質問をピックアップしてご紹介していきます。あなたの疑問もここで解決できるかもしれません。
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・待機行動って、どこからどこまでのこと?
  待機行動は、“ピットアウトした瞬間”から“スタートを切る瞬間”までを指します。時間にして1分40秒から1分50秒ほどです(競艇場により時間の差があります)。

・結局、何をやっているの?
  2分弱の間、選手たちは“コースの取り合い”をしています。当然声に出して「俺が!私が!」とやっているわけではなく、目に見えない牽制をしながら、じっくりとコース取りをしているのです。

<少し深堀り>
競艇ではどの艇がどのコースに入っても良い事になっており、ほとんどの艇はインに陣取りたいと考えています。そのため、ルールが無いと他艇の邪魔をしたり、無理やり割り込んできたりという無茶な行為をする選手も出てきてしまいます(レーサー同士の確執も生みやすく、ファンにとっても舟券が予想しにくかったりといいことはないですよね・・・)。そこで出てくるのがレーサーの行動を“ルールで縛る”待機行動ルールというわけです。しかし、選手側はルールの穴をかいくぐり少しでも有利な位置を取ろうとルールと戦っていました。そして、その度にルール改正が行われ厳しく規制されてきました。その結果、現在のルールではコースの取り合いは難しくなり、枠なり侵入が普通になっています。

・何のためのルール?
  現在の待機行動ルールの主な目的は、ずばり“イン艇の時間稼ぎ防止”です。特に効いてくるルールとして「転舵(舵をきること)は2回まで」「直進以外は禁止」というものがあります。これだけでは流石に分かりにくいので、もう少し知りたい方向けに次の「少し深掘り」で解説していきます。

<少し深堀り>
競艇のボートにブレーキはありません。つまりスロットルレバーを握っていなくても常に少しずつ前に動いているのです。そのためイン側は、コースに早く入るほどスタート時の助走距離が短くなり不利になってしまいます。そうなると、わざと蛇行して少しでも遅くコースに入ろうと時間稼ぎをすればいいと考えてしまいそうですが、それを禁止するのが前述した「※転舵(舵をきること)は2回まで」「直進以外は禁止」というルールです。これにより、イン艇は無駄な蛇行ができなくなり、結果として時間稼ぎも出来なくなるというわけです。
※小回り防止ブイを回る瞬間に1転舵。その直後に艇をまっすぐに向け2転舵。これでもう転舵は出来ません。その後の2マーク付近でターンする際はこれに該当しません。
 
・なぜこんなに分かりにくいの?
待機行動が、複雑に感じるポイントは以下の3点
①「全艇共通ルール」「イン側ルール」「アウト側ルール」が混在している。(「どのシーンでどのルールがどの艇に」適用されているかを判断するのはベテランのファンでも難しいです)
②ルールが非常に細かい。(ベテランレーサーでも気が付かないうちに待機行動違反を取られることもあるくらいです)
③“選手に向けたルール“という意味合いが強いため、選手以外には詳しい説明が行われない(ルールブックは見られますが、非常に分かりにくいです)
などが挙げられますね。だから、初心者のうちはすべてを理解しようとしないのが無難です。

・待機行動違反するとどうなる?
待機行動違反は7点の減点と重罪です(転覆、落水、不完走の減点は5点)。例えば一般戦の普通予選の一着が10点なので、待機行動違反があれば3点にされてしまいます。競艇選手を続けられる最低限の点数は平均で3.5点以上ですので、待機行動違反が多いと選手生命にも影響してきてしまいます。また待機行動も含め、一節内で事故や違反が3回あると即日帰郷という重い懲罰を課される事になるため、選手は待機行動に神経を使わざるを得ないのです。

■ルールの内容
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ここまで初心者の方が最初に疑問に持ちそうな部分を解決してきましたが、ここからは待機行動の時間経過にそって、おさえておくべきポイントをご説明していきます。

・ピットアウト~小回り防止ブイ
ピットアウトから小回り防止ブイまでは全速走行する事がルールで決まっています。2マークの延長線上に小回り防止ブイというのがあり、ピットアウトしたら、まずこのブイまで行くのですが、その際“全速で向かう”と決められています。これはイン側の艇が低速走行して時間稼ぎするのを防止するためのルールです。

<少し深堀り>
小回り防止ブイまで全速走行してターンする際、水しぶきが上がります。この水しぶきが隣の艇にかかってしまう事(“水をもらう”という)があります。時々、この水しぶきがモーターにかかってエンストを起こす事が有るのですが、これは自己責任では無いので減点になりません

<もっと深堀り!>
水をもらった際、わざとエンストさせ時間稼ぎをすることはルール違反です(ボートにはレースが終わりピットに戻ってきた時にモーターを停止させる「タイマーハンドル」という機能がついており、それを使えば故意にエンストを起こす事ができる)。インコースに入れる場合、エンストさせることにより、ボートが進むのを止め、再度、モーターを始動する作業で時間を稼ぎ、その分、コースに入る時間が遅くなり助走距離が稼げる、という訳です。しかし選手にとってエンストは出遅れや不完走となる事も有り、できる限り避けたい物ですので故意にエンストさせる選手は現在ではいません。
  
・小回り防止ブイ~2マーク
  小回り防止ブイをターンすると少し艇が左側を向くので、それを直進姿勢にするために舵をきるのですが、舵をきる回数は2回までと決められています(万が一3回以上舵を切ったら違反)。また、小回り防止ブイから2マークまでは他艇と「2艇身」の間隔を保ち直進する事がルールで決まっています。これはイン艇が蛇行して時間稼ぎをするのを防ぐのと割り込みや進路妨害をさせない目的で設けられたルールです。
  
・2マーク~スタート位置
2マークに達したら左に舵を切って2マークを左に見ながら進みますが、回ってからも2艇身以上の間隔を保持しながらスタート位置を目指します。
注:江戸川競艇場だけは河川の水流があるため、(2艇身が保持できない事があるので)間隔が10mという規定になっています。

・スタート位置
  2マークを回ると最終的なスタート位置を決めるスタートコースに出てきます。そしてスタート位置に付く際、各艇は横の艇と3艇身以上の間隔を空けるというルールがあります。6艇が並んでスタートをするには、これだけの間隔が無いと全速が出しにくいので設けられているルールです。
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<少し深堀り>
スタートコースに入って僅かでもスタートラインの方向に舵を切ったら、その時点で現在位置から艇を後方に向ける事は禁止とルールで決まっています(つまり、アウト側の艇は一度方向を決めたら変えることは出来ないということ)。通常、アウト側の艇は後方からスタートし助走距離を長くしてからダッシュをかけますが、それが出来なくなってしまうのです。このルールは、アウト側の選手がイン側の艇に「割り込むぞ」とみせかけて早めに進入させるというフェイント技を使わせたいために作ったものです。

<もっと深堀り!>
イン側3艇だけは“通過順ルール”というものがあります。イン側に入る艇は、1コース、2コース、3コースの順番で見透し線(2マークと150mラインを結んだ線)を通過しなければならないとルールで決まっています。もし2コースの艇が1コースの艇より先に見透し線を通過すると違反になります。結果的に1コースは最も助走距離が短く、2コース、3コースの順に助走距離は長くなります(このルールは4、5、6コースには関係ありません)。


■待機行動によるメリット
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これだけ複雑な待機行動ですが、もちろんそれによるメリットもあります。ここでは、2点挙げてみました。
・選手間の人間関係良化
  待機行動というのは本来、コース争いの時間ですが上記のようなルールが設けられて以来、現在ではインを争うにも争えないというのが実態です。そのため、ほとんどのレースが枠なりのコース取りとなり、コース取りの争いそのものが無くなったといえます。その結果、選手間の人間関係の悪化を未然に防ぐことになり、平等にコース取りが出来るようになったのです(昔よくあった“若手をインに入れさせない”等の行為がなくなりました・・・)。

・簡単にインを奪えない
  常に隣の艇と一定以上の間隔をあけ、直進しかできないとなるとインコースを奪う手段は“他艇より早く直進し先に2マークを回りインを奪う行為“つまり「前づけ」という手段しか無いのが現状です。そして、無理に前づけしようものなら、早い段階での進入になるため助走距離が短くなり結果的には不利となってしまいます。
簡単にインが奪えないということは、余計な予想因子が減りファンにとっては予想がしやすくなるというメリットがあります(コアなファンの中には、昔のルールが良かったという方もいるかも知れませんが・・・)。

<少し深堀り>
展示航走では行わない前づけは、他選手からすると迷惑行為とも捉えられることもあります。ルール内で行っているとは言え、強引な前づけは反感を買います。また、舟券を買っているファンからのクレームもあるでしょう。そのため、現在の前づけは(優勝戦等の)勝負レースでしか見られませんし、行う場合は前もって宣言するのがマナーとなっています。こういったところも、ファンと選手の両方に良い効果を生んでいるのではないでしょうか。

■まとめ
待機行動について、大枠だけでもお分かりいただけましたでしょうか?理解するのが大変ですが、裏を返せば競艇にはなくてはならない存在であるとも言えます。このルールがあるおかげで、レーサーもファンも気持ちよくレースに望めるということです。そういった意味では、縁の下の力持ち的な存在かもしれませんね。